医療法人社団 厚成会 海老名ハートクリニック 循環器疾患専門 及び 一般内科 高機能型有床診療所 高周波アブレーションカテーテル お問い合わせ 046-236-6085
心臓全体は心筋という筋肉でできており,ポンプの役割を担い全身に血液を供給し養っていますが,心臓は心筋自身も自分で養っています.この心筋を養っている動脈が冠動脈(あるいは冠状動脈)です.何らかの原因で冠動脈の血流が低下,あるいは停止し,虚血状態が長時間に及んだ結果,心筋組織が破壊(壊死)された状態が心筋梗塞です.通常は急性に起こる「急性心筋梗塞」のことを指し,生命に危険が及んでいる状態であるため,これには緊急の治療を要します.
症状
  「胸が締め付けられるような痛み」,「胸が苦しい」,「重い感じする」,「違和感がある」など,いわゆる狭心症の症状が安静にしていても30分以上持続します.
「左肩やあごへの放散痛」,「歯が痛い」,「腕が重い感じがする」,「心窩部(みぞおち)痛」として自覚されることもあります.なお糖尿病の方は痛みなどの症状に乏しいことがあります.
原因
 

冠動脈の動脈硬化が関与しており,突然動脈硬化プラークが破綻し,血栓が形成されることが原因と考えられています.

参考) 急性冠症候群
狭心症が突然起きる「不安定狭心症」(⇒狭心症の項参照)という病気と,急性心筋梗塞との発症機序は同様であり,結果として表現形態が違うだけであるものと考えられています.つまり血栓形成の結果,完全に血管が閉塞した状態が「急性心筋梗塞」であり,わずかに血流が残存した状態が「不安定狭心症」になるものと考えられています.その為,最近では双方を併せて「急性冠症候群」とも呼んでいます.
危険因子
  高血圧
脂質代謝異常(高コレステロール血症,高LDLコレステロール血症,高トリグリセライド血症,低HDL血症など)
糖尿病
喫煙
肥満
狭心症・心筋梗塞の家族歴がある方
加齢(男性45歳以上,女性65歳以上)
診断方法
 

血液検査:心筋壊死により血中に漏出した物質が検出されます.
心電図:典型的な心電図変化が確認されます.
心臓超音波検査:心筋の壁運動の低下を確認できます.
心臓カテーテル検査:直接冠動脈の血管造影を行い,狭窄・閉塞部位を特定できます.

治 療 法
 

急性期には絶対安静が必要であり,心臓を休ませてあげることにより心筋の壊死巣の拡大を防ぎます.発症時間が6時間以内の場合,積極的に閉塞した冠動脈の再灌流療法を行うことで,心筋の壊死範囲を縮小することができます.発症6時間以降でも,状態によっては再灌流療法が有効な場合もあります.その為に必要な検査が心臓カテーテル検査です.再灌流療法には心臓カテーテル治療と外科的治療である冠動脈バイパス術があります.

心臓カテーテル治療は,血管に閉塞した血液の固まり(血栓)を溶かすPTCR (Percutaneous Transluminal Coronary Recanalization:経皮的冠動脈内血栓溶解療法)という方法と,バルーンカテーテルを用いて閉塞した血管を物理的に拡張するPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠動脈形成術)と呼ばれる治療方法があります.また,PTCAではバルーンで拡張しただけでは拡張しきれないため,最近ではステントと呼ばれる金属の網を血管の壁に留置することにより血管を支える治療方法が主流となってきています.これらのカテーテルを用いた治療方法は,併用して行われることが多く,最近では総称して,PCI(Percutaneous Coronary Intervention:経皮的冠動脈インターベンション)と呼ばれています.
カテーテル治療では治療困難である場合には外科的手術である冠動脈バイパス術(CABG:Coronary Artery Bypass Graft)が必要となる場合があります.
⇒PCI治療の動画
 

合 併 症
 

急性心筋梗塞の急性期にはさまざまな合併症が生じ,これらにより生命に危険が及ぶことになります.
主に下記の4つの合併症があります.

1.不整脈
心筋壊死の結果,その部分が原因となって不整脈が発生します.特に生命に危険となる致死的不整脈は24時間間以内にもっとも多く発症し,心筋梗塞の死因の殆どはこの致死的不整脈によるものと考えられています.また,この不整脈発生は予測できないため,突然死として発見されることもあります.

2.心不全
心筋のダメージの範囲が広いと,心臓のポンプとしての機能に影響を及ぼします.この変化が突然生じるために,心臓から送り出せなかった水分が肺に漏れるために,肺での酸素交換が不十分となった状態が,急性心筋梗塞で合併する急性心不全です.

3.心原性ショック
心筋のダメージの程度がひどい場合にはポンプとしての機能が働かなくなり,全身への血液供給さえもが不十分な状態となります.この状態が急性心筋梗 塞による急性循環不全(心原性ショック)であり,このような状態では,全身臓器への影響が出現してきます.したがって,原因は心臓でも,多臓器不全という状態に陥り,頻度は低いものの死亡率は高くなります.

4.心破裂
心筋の壊死した部分が心臓の中の圧力に耐えきれず,穴が開いて破裂した状 態です.心臓の外壁に破裂すると血液が心臓から漏れ,外から心臓を圧迫するため心臓が運動できなくなってしまいます.この状態を心タンポナーデと呼んでいます.また,心臓の左右の心室を隔てている心室中隔に破裂すると,心室中隔穿孔と呼ばれる状態となったり,心臓の弁を支えている乳頭筋に破 裂が及ぶと,急激に弁不全状態が生じます.いずれも重篤な急性循環不全の状態です.いずれも致命的であり,外科的手術の適応となります.
       

これらの合併症の頻度をより低下させる方法は,心筋への血流を一刻も早く再開させてあげることであり,これが再灌流療法といわれるものです.